ネガティブ・ケイパビリティ

「ネガティブ・ケイパビリティ」
という言葉をご存じですか?

「どうにも答えの出ない、
どうにも対処しようのない事態に耐える力」

だそうです。

実は、私、めっぽうこの力に欠けています。
はやく白黒つけて問題を解決したくなって、
焦ってしまうんですね。

娘が小6で学校へ行けなくなった当時もそうでした。
はやく原因を見つけて、
解決策を講じて、
親である自分が安心したかった…

とても宙ぶらりんで不安な気持ちのまま
耐える
なんてできませんでした。

実は、「ネガティブ・ケイパビリティ」
を実践するのが難しいのは、
脳に「分ろう」とする生物としての方向性が
備わっているからだそうです

目の前に、訳のわからないもの、
不思議なもの、嫌なものが放置されると、
脳は落ち着かず、及び腰になります。
そうした困惑状態を回避しようとして、
とりあえず意味づけし、
なんとか「わかろう」とします。

ノウハウ物、ハウツーものが
歓迎されるのはそのためです。
「わかる」ための窮極のかたちが
マニュアル化です。

マニュアルがあれば、
その場に展開する事象は
「わかった」ものとして片づけられ、
対処法も定まります。
人の脳が悩まずに済むために
考案されたとも言えます。



小学校から大学までの試験では、
問題の解決能力を調べます。
そのため答えの出ないような問題は、
初めから用意されません。
答えを用意されている問題に、
出来るだけ敏速に正解を出す能力のみが
試されるのです。
勢い、学校の教育も、
問題解決力の解決に全力が傾けられます。


「ネガティブ・ケイパビリティ」~答えの出ない事態に耐える力~帚木蓬生より

しかし実際の人生や社会では、
自分の努力ではどうにも変えられない、
やり過ごすことでしか超えられないこと

多々ありますね。

そんな時に役立つのが
「ネガティブ・ケイパビリティ」
なのだそうです。

たとえその難しい理論のすべては理解できなくても、
「自分の努力ではどうにもできないことがあって、
それをそのまま受け入れて耐えることも必要な能力なのだ」

とわかれば、
そんな状況に立ち向かう勇気も湧いてきませんか?

「当たり前」が当たり前でなくなった今、
子育てに煮詰まっている方も多いでしょう。

そんな時はちょっと
「ネガティブ・ケイパビリティ」
を意識してみてください。

耐えることは、何もしないことではありません。
「日にち薬」という言葉があるように、
時間が解決してくれることもたくさんあります。
「焦らず、慌てず、諦めず」
子育ては長期戦でいきましょうね!