お年玉のお礼

お正月と言えば、
子どもたちの楽しみは
「お年玉」ですよね。

ところが、娘はこのお年玉をもらうことが、
非常に苦痛だったと言います。


我が家は毎年、元日に夫の実家へ、
2日には私の実家へ顔を出していました。

それぞれの親が、
私たち親子が揃って訪問することを
楽しみに待っていたものです。


HSCの娘にしてみれば、
いつもと違う環境で、
安心できる居場所もない状態で過ごす数時間は、
それだけで緊張状態が続いて
辛いものだったようです。

祖父母は良かれと思って、
お節料理やお菓子など、
この時とばかりに娘に振舞います。

「嬉しい」を表現しないと祖母たちが傷つくかと思うと、
自分の意思に反しても
頑張って「嬉しい」を表現
しようと
努力していたようです。


私が小さい頃も、
お正月に祖父母の家に行くことは、
時間を持て余し退屈なものでした。

なので、時間つぶしができるゲームや、
本などを持参して対策をとれば、
大丈夫だろうと思い込んでいたのです。

それに、「お年玉」という魅力もありましたからね!


うちの家族は親戚が少ないのもあって、
娘は小さい頃から年齢の割に
高額なお年玉を頂いてきました。

私が子どもなら、
「これだけもらえるなら、ちょっと我慢するか!」
と思える額が手に入るのに、
娘はそのお年玉をもらうことが
一番嫌だったと大人になって話してくれました。

祖父母から頂くお年玉は、
目の前でお礼を言えば済むので、
まだいいそうです。

問題は、祖父母に託された、
叔父、叔母からのお年玉でした。

元旦に会えないからと、
事前に祖父母に預けてくれていた場合、
受け取った時点でお礼を伝えなくてはなりません。

「今からお母さんが電話するから、お礼を言いなさいよ!」
強制的に電話に出さされるわけです。


親にすれば、
『ちゃんとお礼が言えるように躾ける』
ことが大事なので、
有無を言わせない雰囲気だったでしょう。

しかし、娘にしてみれば、
礼儀どころではない苦痛だったそうです。


もともと表情が見えない
電話で話すことが苦手な娘にとって、
ほとんど話をしたこともない大人と
急に電話で話をしないといけない
なんて…。

「お年玉をありがとうございました。」
とだけ言って終わるわけではない
ことは
わかっています。
相手も気を遣って、
「学校は楽しい?」
などと世間話を仕掛けてきます。

親や祖父母に囲まれたこの状況で、
何と答えるのが正解なのだろうか?
と瞬時に考えながら、
無難な回答をしないと!
と思い詰めていたようです。

事前に次に起こることが予測できない状態を
非常に嫌がる
娘にとって、
よく知らない人との電話の会話は、
私が思う以上に負担が大きいものだったのです。

「こんな思いをするくらいなら、お年玉はいらない!」
とずっと思っていたんですって!

私は、全くそのことに気付きませんでした。

娘が大人になってから聞いて、
大変驚いたものです。

今でも、同じようにつらい思いをしているお子さんは
いらっしゃるかもしれませんね。

「お年玉」だけでなく、
「入学祝い」「卒業祝い」など
お祝いを頂くたびに、
そのお礼電話に気が重い…。

お礼の気持ちを相手に伝えることは
大事ですね。

しかし、「その場」で「電話」である必要は
ない
とおもいませんか?

今の私なら、
「お礼のお手紙を書こうか?」
と提案するかなと思うのです。

娘の場合、言葉を吟味できる手紙は得意分野ですから、
一緒に書こうと誘えば、
喜んで書いてくれたと思うのです。

絵を描くのが好きですから、
ありがとうの文字と得意な絵を添えるだけで、
サンキューカードになります。

こんな風に、その子の特性を知れば、
もっと楽な対処方法を一緒に考える
こともできます。

お子さんが素直に自分のつらさを表現でき、
親がそれを受けとめることができる関係を築きたいものです。

どうぞ親のコミュニケーション能力を磨いてくださいね!

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