法哲学者の那須耕助さんが、
素敵な言葉を残されています
——-人の身体は、転ばないようにではなく、
うまく転ぶように作られていく——-
赤ん坊は歩けるようになるまでさんざん転ぶが、
やがて、転びかけるととっさに手をついたり、
体をひねったりして衝撃を和らげるようになる。
歩けると言うのは、
上手な転び方をわきまえているのだと。
私はかつて、娘が転ばないように先回りして、
失敗を減らすことが親の使命だと思っていました。
幼稚園で困らないように…。
お友達がすぐにできるように…。
授業で困らないように…。
勝手に先回りして、
万全の体制を用意したかったんです。
「自分の思うようにいかないこと」こそ、
学ぶこともいっぱいある、大事な経験ですのにね。
娘が「うまく転ぶすべ」を身に着けるチャンスを
減らしてしまったことを後悔しています。
子どもは親が思うほど、弱くはありませんね。
失敗しても、気にせず先へ進む力を持っています。
それでもたまに弱気になった時に、
「大人が自分を見守ってくれている」
と感じられたらそれで充分。
大人はしゃしゃり出ないで、後からそっと見守り、
子どもが振り返った時に笑顔を返せるくらいが、
ちょうどいいように思います。
「無関心ではなく、でも構いすぎない」
そんな距離感で子どもと付き合えたなら、
「上手な転び方をわきまえた人」に育つのかもしれませんね。