何気ない一言

子どもの頃、大人からの言葉に傷ついた思い出はありませんか?

私は、今でも忘れられない言葉があります。

小学生の低学年の頃、大根おろしを作らせてほしいと母に申し出たことがありました。

手伝いをしてほめてもらいたかったのでしょう。

私なりに一生懸命作りましたが、母の口から出た言葉は

「あんたは力がないから、大根おろしが液体だらけになってしもたわ!」

でした。

確かに子どもの力では、大根をおろし金にしっかりと押さえつけることは無理だったのでしょう。

母も私をけなすつもりなどなく、ただ見たままの事実を口にしたのだと思います。

しかし、その時私は心に誓いました。

「これから一生、どれだけ頼まれても、二度と大根はおろさない」と!


私は小さいころから、ボーっとした子どもだったので、

子ども時代の思い出はあいまいです。

それでも、この一件だけは鮮明に覚えているのです。

それから大人になるまで、

私は家で大根をおろしませんでした。

小学校の高学年では、母に頼まれても

「どうせ私のおろした大根おろしは美味しくないから、やめとくわ」

と嫌味を言って、手を出しませんでした。

それほど、幼い私はその一言に傷ついていたのでしょうね。


言った側は、記憶にも残らないような、ちょっとした言葉も、

受け取る子どもにとっては、一生残るくらいショックな言葉であることもあるのです。

そういう私も、娘には何度も嫌な思いをさせてきていますから

大きなことは言えません。

気を付けてはいても、上手く伝えられないときはあります。

だからと言って、気を使いすぎて会話自体を避けてしまうのも残念です。

そこでおすすめしたいのが、

「自分が言葉を発した後、相手の表情を見極める」ことです。

思った通りに伝わって、相手が笑顔ならそのままでok!

でも、相手の反応が予想と違ったら、

意味が違って伝わっている可能性があります。

それに気づいたら、すぐに言葉を補ってください。

先ほどの私の例なら

まずは「お手伝いありがとう。助かったわ」が抜けていましたね。

きっと当時の私も、不満げな顔をしていたはずです。

母はそこを見逃してしまったんですね。

一旦口から出た言葉を、聞き手がどのように受け取るかは、わかりません。

聞き手次第です。

でも伝えた後の反応は、話し手が意識することで確認できます。

慣れないと、つい見落としがちですが、

「ちゃんと伝わったかな?」

「言葉が足りずに、嫌な思いをさせていないかな?」

そんな気持ちで、お子さんの表情を見てあげてほしいのです

親の言葉が子どもの心を育てます。

どうぞ、ちょっと意識して会話を楽しんでくださいね。